数学的簿記学習法  はじめに



数学も役にたつ!

 近年、高校生や大学生の数学の能力が落ちてきていると盛んに言われています。確かに受験問題も昔より簡単だし、大学の数学の授業も昔はもっとすごかった(某数学の先生曰く、「30年くらい前はベッセル関数くらい理系のどの学生でも知っていた」)らしいので、数学の能力が落ちているような気がします。
 一方で、国際的な数学のテストを高校生とかにやらせると日本の生徒の成績は意外にも上位にランクされるそうです。問題を解きなれているので簡単に解けるのでしょう。でも、数学に対する意欲はかなり低レベルだとか。
 つまり、能力はあるのにやる気がないために、しだいに数学的素養が薄れていくのだと思います。
 そして、さらに残念なことに文部省では生徒への負担を減らすために、円周率の計算を3.14から3にしたり、中学3年の二次方程式の解の公式を削除したりしています。これでは、数学の基礎能力さえなくなってしまうような気がします。

 よく、数学なんて勉強したって意味がない、という子供たちがいます。大人でもそういうふうに言う人が意外に多くいると思います。
 確かに、二次方程式が解けたり三角形の合同の証明ができたところで、実社会では特に役立ちません。理系の私でも計算のほとんどは四則演算で、二次方程式なんて解きません。
 でも、本当に意味がないのでしょうか。なぜ意味のない学問が紀元前から研究からされているのでしょうか。

 学校で数学を勉強する意味はあり、それには三つの意味があると思います。

 一つ目は、よく言われているように論理的な思考力をつける、集中力を養うといったことです。大学教養までの数学は明確な公理ばかりで、様々な手法を順序よく組み合わせていけば確実に問題を解くことができます。また、答えが合わなければたいてい点をもらえないので、厳密な計算が必要です。答えにたどりつくための論理的思考力と、厳密な計算をするための集中力を養えると思います。

 二つ目は、数学も教養の一つだということです。特に科学技術立国である日本の場合はです。「いい国つくろう源頼朝」とかの歴史の知識や、「秋刀魚」は「さんま」と読むなんていう国語の知識は、知っているから役にたつわけではないですが、知っていなきゃ恥ですね。それと同様に、因数分解や化学反応式だって知らなきゃ恥だと思います。たぶん、恥文化だといわれる日本人がそれを恥だと思わないのは数学・理科を重要視していないせいでしょう。

 三つ目は、せちがらい世の中を生き抜くための一種の知恵だと思います。今の世の中、金がなければ生きていけません。金の量は数字で表されるのでどうしても金の計算が必要です。海外では少しの金額ならぱっと計算できないとおつりをだまされてしまいます。お金を借りて単利と複利の違いがわからないと、あとでこわいお兄さんに追いかけられる羽目になるかもしれません。

 以上、数学を勉強する意味を書きましたが、別に意味を追究しなくても数学はそれ自身おもしろいし、役にたつ概念も多いです。簿記の勉強にも役立ちます(特に工業簿記などは。)

 そこで、このページでは数学を用いたユニークでわかりやすい簿記の解説をしていこうと思います。また、簿記だけじゃつまらないので、身近なことを数学で考えてみるコーナーなんかも作ります。(例えば、人間の金に対する満足度はだいたい金額の対数で表される。) このページを見てくれた人が少しでも数学に興味をもってくれたら嬉しいです。

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